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清水 雄一; 河西 俊一
Chemistry Letters, 0(11), p.935 - 936, 1996/11
過酸化水素の存在下でアクリル酸の水溶液を高強度のXeFレーザー光(351nm)で照射することによる乳酸の新規な直接合成法について述べる。乳酸の収量はレーザー光の照射量と過酸化水素の添加速度に大きく依存し、最大収量での乳酸生成の量子収率と選択率はそれぞれ0.3および50%であった。生成物分析の結果から、過酸化水素のレーザー光分解で高密度に生成したOHラジカルはアクリル酸のと位の炭素に均等に付加して、乳酸とヒドロアクリル酸を1:1で生成することがわかった。
清水 雄一
Radioisotopes, 43(3), p.147 - 156, 1994/03
本稿では、窒素飽和したアルコールに過酸化水素の存在下でエキシマレーザーからの高強度のKrFレーザー光を照射することによって、ジオールを高選択率・高量子収率で直接合成する研究、また炭酸ガスをメタンの存在下でArFレーザー光照射することによって、炭酸ガスを効率良く還元して一酸化炭素やエタンを生成する研究など、我々の研究成果を中心に述べる。さらに、これまでに報告されたレーザー有機化学反応の研究について数例紹介すると共に、この種の研究の今後の課題について簡単に触れる。
杉本 俊一*; 清水 雄一; 鈴木 伸武
Chem. Express, 8(7), p.451 - 454, 1993/00
炭酸ガスにメタンの存在下でArFレーザー光(193nm,260mJ/pulse,50Hz)を照射すると、主生成物として一酸化炭素が、微量生成物としてエタン、プロパンおよびブタンが生成し、炭酸ガスの還元が著しく促進されることを見出した。一酸化炭素の生成量はメタン濃度の増加と共に急激に増加し、メタン濃度がおよそ15mol%で最大になった。この時の量子収率は0.25であり、炭酸ガスのみの照射のときの約6倍であった。一方、エタンの生成量はメタン濃度がおよそ50mol%で最大になった。さらに、メタン濃度がおよそ35mol%以上で、プロパンおよびブタンが生成した。炭酸ガスのArFレーザー光分解によって一酸化炭素と共に生成するO原子がメタンによって効率よく捕獲されるために、レーザー光照射による炭酸ガスの還元反応が有効に進行すると結論した。
杉本 俊一*; 清水 雄一; 鈴木 伸武
Chem. Express, 8(9), p.789 - 792, 1993/00
一酸化炭素とメタンの混合気体にArFレーザー光(193nm,270mJ/パルス,50Hz)を室温で照射すると、主生成物としてエタンが、副生成物としてプロパン、エチレンおよび含酸素化合物であるアセトアルデヒドが生成することを見出した。これらの生成量はいずれもメタンの含量の増加と共に増加し、メタンの含量がおよそ73mol%で最大になった。この時の量子収率はそれぞれエタン:0.26,プロパン:0.02,エチレン:0.01およびアセトアルデヒド:0.04であった。これらの生成機構について考察した。その結果、一酸化炭素とメタンとの反応によって生成するアセトアルデヒドはArFレーザー光の照射下で分解されることを明らかにした。
清水 雄一; 杉本 俊一; 河西 俊一; 鈴木 伸武
Bulletin of the Chemical Society of Japan, 64, p.3607 - 3612, 1991/12
被引用回数:8 パーセンタイル:52.06(Chemistry, Multidisciplinary)レーザー光を利用して過酸化水素の存在下でメタノール、エタノールおよびメタノール-エタノール混合溶液の物質変換の研究を行った。窒素飽和したメタノールを室温でKrFレーザー光照射すると、エチレングリコールが高量子収率(=0.94)で高選択的に生成することを見出した。過酸化水素の添加速度が3.2ml/hの場合、エチレングリコール生成の選択率は94%であった。エタノールからはブタンジオールとアセトアルデヒドが直接、選択的に生成することを見出した。過酸化水素の添加速度が3.4ml/hの場合、ブタンジオールとアセトアルデヒド生成の量子収率はそれぞれの0.42および0.29であり、この時の合計の選択率は97%であった。また、メタノール-エタノール混合溶液からプロパンジオールが直接生成することを見出した。1,2-プロパンジオールの生成量はメタノール濃度が64mol%付近で最大になった。これらのジオールの生成機構を考察した。
清水 雄一; 河西 俊一; 杉本 俊一; 鈴木 伸武
Chem. Express, 6(8), p.567 - 570, 1991/00
窒素飽和したメタノール-エタノール混合溶液を過酸化水素の存在下でKrFレーザー光照射すると、1,2-プロパンジオールを主生成物とするエチレングリコール、2,3-ブタンジオールなどのジオールが直接、選択的に合成できることを見出した。ジオールの生成量は過酸化水素水の添加速度の増加と共に減少した。また、1,2-プロパンジオールの生成量はメタノール濃度が64mol%付近で最大になった。過酸化水素水の添加速度が3.6mlh、メタノール濃度が64mol%のときの1,2-プロパンジオール、エチレングリコール、2,3-ブタンジオールとアセトアルデヒド生成の量子収率はそれぞれ0.27,0.14,0.11および0.16であり、このときの選択率はそれぞれ35.1,19.3,13.8および22.7%であった。また、ジオールとアセトアルデヒドの生成の量子収率の合計はおよそ0.71であった。高密度に生成したOHラジカルを開始種とするプロパンジオールの生成機構を考察した。
清水 雄一; 杉本 俊一; 河西 俊一; 鈴木 伸武
Chemistry Letters, 1991, p.35 - 36, 1991/00
窒素飽和したエタノールを過酸化水素の存在下でKrFレーザー光照射すると、ブタンジオールとアセトアルデヒドが選択的にしかも短時間で容易に直接合成できることを見出した。ブタンジオール生成の量子収率は過酸化水素水の添加速度の増加と共に減少した。一方、アセトアルデヒドの量子収率は逆に増加した。過酸化水素水の添加速度が3.4mlhのときの2,3-、1,3-、1,4-ブタンジオールとアセトアルデヒドの生成の量子収率はそれぞれ0.31、0.09、0.02および0.29であり、このときの選択率はそれぞれ42、12、4および40%であった。また、ブタンジオールとアセトアルデヒドの生成の量子収率の合計は過酸化水素水の添加速度が3.4-14.7mlhでおよそ0.71であり、選択率の合計は92-98%であった。過酸化水素のレーザー光照射によって高密度に生成したOHラジカルを開始種とするブタンジオールおよびアセトアルデヒドの生成機構を考察した。
清水 雄一; 杉本 俊一; 河西 俊一; 鈴木 伸武
Bulletin of the Chemical Society of Japan, 63(1), p.97 - 101, 1990/01
被引用回数:3 パーセンタイル:31.82(Chemistry, Multidisciplinary)窒素飽和下で過酸化水素の存在下においてメタノールを紫外光照射すると、エチレングリコールが選択的に生成し、その選択率は過酸化水素の添加速度が3mlh以下では85~94%であった。エチレングリコールの生成量は5mlhで最大になり、その時の量子収率は0.73であった。エチレングリコールは過酸化水素の光分解で生成したヒドロキシルラジカルのメタノールからの水素引抜きによって生成したヒドロキシメチルラジカルの二量化によって生成すると考えられる。一方、酸素通気下でメタノール溶液を紫外光照射すると、ギ酸およびギ酸メチルが選択的に生成し、[ギ酸+ギ酸メチル]の生成の選択率は1~8mlhで約99%であった。ギ酸およびギ酸メチルの生成量は5mlhで最大になり、その時の量子収率はそれぞれ1.36および0.69であった。また、ギ酸およびギ酸メチルの生成機構を考察した。
清水 雄一; 杉本 俊一; 河西 俊一; 鈴木 伸武
Chemistry Letters, 1989, p.2153 - 2154, 1989/00
窒素飽和したメタノールを過酸化水素の存在下でKrFレーザー光照射すると、エチレングリコールが高量子収率、高選択率で生成することを見出した。エチレングリコールの生成量は過酸化水素濃度の増加と共に減少した。エチレングリコール生成の量子収率は過酸化水素水濃度が13.5vol%以下では0.78~0.94であり、またその選択率は過酸化水素水濃度が5.9~20.0vol%で96~98%であった。エチレングリコール生成の量子収率と選択率はKrFレーザー光照射の方が低圧水銀灯照射の場合よりも著しく大きいことが明らかになった。高強度レーザー光の照射によって過酸化水素を効率良く分解し、ヒドロキシルラジカルを高密度で生成させる。ヒドロキシルラジカルは効率的にメタノールと反応してヒドロキシメチルラジカルを生成する。エチレングリコールは高密度に生成したヒドロキシメチルラジカルの効率的な二量化を通して生成すると考えられる。